京都こそ高気密高断熱住宅にするべき理由
家づくりの情報を検索しているあなたなら、高気密高断熱というキーワードが一度でも出てきたはず。
でも、京都や関西ではそこまでは必要ないのでは・・・。
と思われている方も多いと思います。
ただ、高気密高断熱に取り組み始めて6年以上経つ私の経験から、京都こそ高気密高断熱にしたほうが良いとおすすめします。
この記事では、その理由も含めてお伝えしていきますね。
なぜ私が高気密高断熱住宅にしたほうが良いと気がついたのか?
10年近く前、私が高気密高断熱住宅に取り組もうと思ったのは、ある本を読んだのがきっかけでした。
「世界基準の「いい家」を建てる」
という本をたまたま書店で手に取ったのです。
住宅関連の書籍は、情報収集のため毎月何冊か読んでいるのですが、その内の一冊でした。
「世界基準の住宅ってどんなのだろう?」とした好奇心で、タイトルだけみて、大して中も見ないで購入し、情報の一部として読み進めたのです。
関西では高気密高断熱なんて・・・
実はそれまで私自身、関西で高気密高断熱の住宅なんて必要ない、と感じていました。
「北海道や東北じゃあるまいし、そこまでしなくても。」
「なんか、窓がない感じがするから良くない。」
「高気密ってどうも密閉されて風通しが悪そう。」
という、みなさんと同じような感覚を持っていたのです。
この本は、ドイツで活躍された日本人の建築家が、「日本に帰ってきて現状を知り愕然とした」、というところから始まります。
高気密高断熱化は世界的な流れで、日本はすでに完全にとり残され、先進国のドイツに比べれば30年は遅れている、と言うもの。
そして、ヨーロッパでは車と同じように住まいにも燃費が表示され、その性能が資産価値にも影響するということです。
この本を読んでショックをうけました。
日本の木造建築技術は優れていると習ったはずだし思いこんでいただけに、衝撃的でした。
どうも、耐震技術は優れていたというのが主な要因だったようです。
ところが、温熱技術といえば散々たる状況。
それも、ドイツは冬が寒いから、という理由だけではないのです。
もちろん省エネというのが大前提ではあります。
ですがそれ以上に、寒い家は健康によくない、という考え方が一般的です。
日本のように、寒かったらたくさん着こんで少しくらい我慢すればよい、という考え方は間違いとされています。
■WHO(世界保健機構)では、寒い季節に健康を守るために「室温18℃を強く勧告」としています。
■イギリスでは、室温19℃以下は健康リスクがある、とされています。
■ドイツでは、室温19℃以下は基本的人権を損なう、とまで言われています。
■アメリカでも、州によって室温規定が定められています。
ニューヨークでは最低室温規定以下の部屋を貸してはいけないことになっています。
他にも18℃以下の環境は、健康を害するので、法律でそうならないように規制している国が多くあります。
このようなことを知るにつれ、私の頭のなかは日本の家も高性能にしなければ、と強く思うようになりました。
高気密高断熱は省エネだけではないの?
高気密高断熱にして得られるメリットは3つに分けられます
「健康的に暮らせる」
「快適に生活できる」
「省エネである」
などがあります。
健康的であるというのは、部屋ごとの温度に差が少ないので、ヒートショックを起こしにくいです。
それどころか、低温は体への負担が大きく健康を害する可能性が増えるとされています。ヒートショックだけでなく、冬の死亡率が高いのはその証拠です。
寒い家にガマンして住んでいる?高気密高断熱住宅が健康に優しい理由
また、家全体がほぼ均一の温度になるので、行動量が増えます。
これは快適性の表れではないでしょうか。
冬起きたとき暖かい部屋に、しかも省エネしながらできる家を手に入れる方法
冷え性の悩みから解放される?知っておきたい高気密高断熱住宅の秘密
これは、寒さだけの対策ではありません。
夏も同じように家全体の温度を適温で過ごせるので、この上なく快適になるわけです。
気密を良くしている、と湿度のコントロールもしやすくなります。
これまでの住宅では、気密が悪くスカスカの状態だった為にこれがほとんどできませんでした。
この点も、健康面へのプラスとなります。
日本の、梅雨や夏のような湿度によるダニや、結露によるカビを防ぐことができます。
子供のアトピーにやさしい家づくり!高気密高断熱による健康快適生活
私も年齢を重ねていますので、体のことを考えるとこれらのメリットを身にしみて分かるようになってきたのが始めたきっかけです。
つまり、寒い地域だから高気密高断熱にする、というのだけが理由ではないのです。
快適で、健康的な生活を送りたい、送っていただきたい、というのが高気密高断熱住宅をおすすめする第1の理由です。
それでもなぜ京都で高気密高断熱をすすめるのか?
寒い地域だから高気密高断熱にするというのが、おすすめする理由ではないとお伝えしました。
ですが、実は京都は気候的にもオススメしないではいられない理由があるのです。
ご存知ですか?
京都の夏の最高気温の平均
京都→34.6℃
沖縄→32.2℃
すでに、京都人にとって沖縄は避暑地なのです。
もう10年以上前からこうなっています。
更に
京都の冬の最低気温の平均
京都→1.9℃
新潟→1.7℃
北国と大して変わらない・・・
北国ではすでに、高気密高断熱は普及しています。
10年前ですら、北海道に住む友人からは、京都のほうが寒いと言われていました。
その時は大して気にしていなくて、暖房をガンガンに焚いているんだろうなくらいにしか思っていませんでした。
でも、しっかり断熱もしているために光熱費は変わっていないと聞きます。
そして、北海道は夏はエアコン無しでも快適に過ごせます。
沖縄では、エアコンに冷房専用が多いです。
京都は、冬は底冷え、そして夏も過酷な環境なのは身にしみておられるはず。
その上、盆地の湿気がその過酷さにプラスされるわけです。
これほど体にきつい地域は多くないのです。
これが、私が京都こそ高気密高断熱にした方が良いとおすすめする理由です。
他府県の方に自虐的に 「京都は夏暑いし冬寒いし・・・。」などと言っている場合ではないのです。
体に優しい省エネとは
光熱費がもったいないからと、我慢してきたのが日本の省エネです。
世界の省エネは、建物の性能を良くして省エネをしています。
しかも世界の省エネは、健康にもよく、快適な生活を目指しています。
建物の性能を良くすれば、そうでない住宅と同じ光熱費で家中を快適にできるのです。
真冬の朝、快適に目覚めることができます。
真冬にお風呂に入る時、ひんやりしません。
真冬に、トイレにいくのが億劫になりません。
真夏寝る時、エアコンを気にしなくても快適に寝られます。
ダニ、カビを防ぐことができます。
まだ我慢する省エネ住宅を選びますか?
どちらを選びますか?
高気密高断熱は、新築だけでなく、リフォームでも可能です。
町家でもかなりできます。
ただ、気密を考えると、工務店ならどこでもできるわけではありません。
中途半端に、気密を十分に考えずに断熱だけ良くすると、壁の中で結露が発生し建物の骨組みを傷める可能性が多々あります。
依頼する場合は、経験値の高い工務店をお選びください。
その際はこちらの、「失敗してはいけない!なんちゃって高気密高断熱の罠」
そのほか、「いい家の新基準とは?燃費で選ぶこれからの高気密高断熱住宅」
が参考になると思います。
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